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機能性胃腸症

今回は「機能性胃腸症」というテーマです。

 

 

胃カメラで何も異常がないと言われながらも、胃の重苦しさ、圧迫感、ゲップなどでおびただしい数の人が悩んでいます。

 

胃カメラの検査で異常が見つからないにも関わらず、胃の調子が悪い状態を「機能性胃腸症」と呼びます。

 

「原因不明」と医師に言われ、悩んでいる人にまず申し上げたいのは、「機能性胃腸症」という考え方は世界中にあるということです。

 

「自分の胃が不調である理由がわからない」ということ自体がストレスになるのです。

診断名がつくことで、ほとんどの人は救われたような気持ちになります。

 

そして、この病気はまず「命を取られる病気ではない」ということを知り、まず安心していただきたいと思います。

しかし、QOL(生活の質)は低く、糖尿病や逆流性食道炎や重症の腎臓病などと比較してもQOLが低いことが報告されています。

 

機能性胃腸症で悩んでいる人は、日本での統計は男性11%、女性26%と女性に多い傾向にあります。

特に、胃の症状で苦しむ機能性胃腸症は、睡眠が障害されることが大きな特徴です。

 

しかし、機能性胃腸症の半数以上の患者さんは時間の経過とともに軽快してしまいます。

ほとんどの患者さんは時間が経てば、改善もしくは治癒することを覚えておいてください。


<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

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機能性胃腸症の症状を軽くする方法 ~①胃が緩めば、あなたの笑顔も緩む 胃は健康の鏡~

今回は機能性胃腸症の症状を軽くする方法

「①胃が緩めば、あなたの笑顔も緩む 胃は健康の鏡」というテーマです。

 

 

胃の調子が悪い人、そうでない人の大きな違いのひとつは、「胃運動能」です。

胃が動けば、胃の調子は良くなるのです。

 

胃の調子が悪い人は、胃の緩みが悪いということです。

胃の調子が良い人の胃は、食べ物が口から入ってくると、胃の天井部分(穹窿部と呼ぶ)が大きく膨らんで、食べ物を受け入れるスペースを作ります(適応性弛緩)

これによって、より多くの食べ物を受け入れられるようになるのです。

 

しかし、最近の研究で胃の調子が悪い人の胃の動きを胃電図で調べると、この胃の緩みが悪い人が多いのです。

胃の緩みが悪いと、胃の拡張が悪いため、多くの食べ物が受け入れられず、早くお腹が一杯になってしまいます(早期飽満感)

また、胃の中の圧力が高まるため、みぞおちが痛んだり、食べ物が詰まった感じがしたり、様々な不快感が出るのです。

 

さらに、胃が膨らまずにギチギチに固いので、胃の中に入った食べ物は十分に噛み砕かれずに、すぐに十二指腸に流れ込みます(胃排出亢進)

胃の中で食べ物の貯留が十分に行われないで、早期に食べ物の胃排出が起こるのです。

 

そして、食べ物と胃酸が急激に十二指腸に流れ込みます。

すると、十二指腸に負担がかかることから、十二指腸は胃に「これ以上たくさんの量は受け付けません」と拒絶をします。

 

十二指腸の急な拡張は、胃排出に対してブレーキ(食べ物が急速に十二指腸に流れ込まないように胃排出を遅らせる調節機構)となり、結果的に胃の排出は遅くなってしまいます。

これを「十二指腸制御」といい、十二指腸が胃の運動機能を悪くすることがわかっています。

そうすると今度は、結果として胃の中の食べ物がずっと残り、停滞します。

少ししか食べていないのにも関わらず、この食べ物が胃の中に停滞し、食後のもたれ感を出すのです。

これが胃もたれや胃の痛みに繋がるというわけです。

 

また、多過ぎる酸は胃の動きを弱めることがわかっています。

胃カメラを行いながら、十二指腸に酸を振りかけると「胃の出口(幽門前庭部)が収縮する回数が減る」という研究結果があります。

胃酸の出過ぎは、胃の働きも弱めるのです。




<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

誤診が多い、胃とみぞおちの痛み

今回は「誤診が多い、胃とみぞおちの痛み」というテーマです。

 

 

「みぞおちの痛み」には注意が必要です。

まずは、みぞおちにある内臓の位置関係を説明していきます。

 

みぞおちの皮膚の下には、まず肝臓があります。

その裏(背中側)には、胃と十二指腸があり、その奥に膵臓が位置しています。

また、肝臓に近い胆嚢と胆管の痛みは、みぞおちに放散(響く)します。

 

こうした特徴から、他の医療機関から転院してくる患者さんの中には、次のようなケースが見られることがあります。

 

①カメラで異常はないと言われたが、みぞおちの痛みが強く来院。

腹部エコーで、胃の裏の膵臓に進行性膵臓ガンが見つかった。

 

②処方された胃薬を飲んでいても、症状が改善せず来院。

腹部エコーで確認すると胆石が胆嚢にあり、胆嚢炎を起こしていた。

胆嚢炎の痛みはみぞおちに響くため、患者は「胃が痛い」と誤解し、医師もそれに気づかなかった。

 

③胃潰瘍ではないかと診断されたが、薬を飲んでもみぞおちの痛みが改善せず来院。

腹部エコーを行うと、肝臓に直径8センチの肝臓ガンが見つかった。

胃の前には肝臓が位置しており、肝臓の腫瘍によってみぞおちが痛むことがあるので注意が必要。

 

 

このように、みぞおちの痛みには危険な誤診が多いのです。

「みぞおち=胃」という思い込みを捨てることが肝要です。

なぜなら、みぞおちの痛みは100%胃の痛みとは限らないからです。

 

みぞおちの痛みは、「胃」の痛みとして本人には認識されます。

しかし、胃の周りにはいくつかの臓器が入り組んで重なり合っていることを忘れてはいけません。

胃カメラによる検査で異常がないのに改善しない人、胃薬を服用しても軽快しない人は、胃以外の病気を疑って、腹部エコー検査を希望してほしいのです。

さらに万全を尽くすなら、エコーよりも死角の少ない、CT(コンピューター断層撮影装置)MRI(磁気共鳴画像装置)検査で胃の周辺臓器の精密検査を受けることです。




<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

聴診器で診断できる身体の声

今回は「聴診器で診断できる身体の声」というテーマです。
 
 
聴診器はレントゲンのように被曝の心配もなく、非常に多くの身体の情報が得られます。
また、医療従事者だけでなく、誰にでも簡単に使うことができるところも便利です。
そんな聴診器で「身体の声」を聞いてみましょう。
 
聴診器を当ててチェックしたい部位は、①首②胸の上部(肺)③左胸(心臓)④腹部の4つです。
 
<こんな音が聴こえたら要注意>
①首の両側の血管に聴診器を当てます。
血管が細くなって詰まりかけているときには、「シュー、シュー」という音がします。
そんな音がしないか確認します。
首の血管(内頸動脈)が動脈硬化で詰まり、脳梗塞を起こす人が増えているのです。
 
聴診器によるチェックで狭窄が早期に発見できれば、血管内膜剥離術という手術で脳梗塞を防ぐことができます。
 
②両胸の乳首の少し上に聴診器を当てて、大きく呼吸をして、肺の音を聴いてみます。
例えば、喘息発作では息を吸ったときには「ヒューヒュー」という高い音、息を吐き終わるときには「ブーブー」という独特の低い音が聴こえます。
この時、普段から肺の音を聴いておけば、咳が出たときにただの風邪なのか、喘息発作なのかが大まかにわかるようになります。
 
また、心不全を起こしている人は肺水腫と言って、肺が水浸しの状態になっており、呼吸をした時に水が「ボコボコ」という音がします。
他にも、肺気腫になると肺が膨張するため、肺の音が遠くに感じるなど、聴こえづらくなります。
 
③心臓の音は左の乳首付近に聴診器を当てて聴き、リズムを覚えておきます。
鼓動のリズムが不規則な人の中には、心房細動の人がいます。
聴診器でチェックしたとき、鼓動のリズムが乱れると、心臓内で血液の流れが淀んで、血栓ができやすいのです。
それが脳に飛び、血管を詰まらせてしまうことで、脳梗塞になる危険性があります。
 
④腹部はヘソの辺りに聴診器を当てて、10秒以上聴きます。
普段から腸の音に親しんでいると、腸が詰まったり、捻れたりする腸閉塞のときに聞こえる金属性雑音(遠くでキン、キンと金属の管を叩いたような音)などの異変に気付くことができます。
何より、聴診器で身体の声を聴いていると、自分との対話ができて、心が落ち着くようになるでしょう。



<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

胃の不調には3つの原因がある

今回は「胃の不調には3つの原因がある」というテーマです。

 
 

胃の不調は、生活の質や仕事の能率、幸福感などを大きく落としてしまいます。
そうならないために、「胃力」を高めることで胃を健康にすることが大切です。

 

胃の不調の原因は次の3つです。

①胃酸力

②胃運動力

③抗ストレス力

 

ひとつずつ説明していきましょう。

①胃酸力

胃酸が出過ぎている人は、胃カメラで腫瘍もなく、ガンもないのにも関わらず、胃が痛いと感じるのです。

これを、胃の「知覚過敏」と呼びます。

 

例えば、胃潰瘍や十二指腸潰瘍もなく、ガンもないのに胃が痛むことはよくある話なのです。

胃酸が出過ぎていると、潰瘍がないのに胃は痛むのです。

 

ですから、逆に胃カメラの結果が全てではない、ということが大切です。

もちろん、ガンがないか腫瘍がないか、胃カメラで調べることは極めて重要です。

しかし、胃カメラで何もないからと言って、何もしなくてもいいということではないのです。

症状が大切です。

痛みを感じる患者さんには、胃酸を抑える努力をしてもらうことで、痛みも楽になり、患者さんも救われるのです。

 

②胃運動力

胃の動きの鈍い人が感じる症状は、胃のもたれ、胃の重い感じ、吐き気などです。

これを胃の「運動不全」と呼びます。

 

胃カメラで異常がなくても、もたれ、何か重苦しい感じなどを感じたら、胃の動きを改善する工夫(脂肪を控え、運動して自律神経を整える)をすると、すっきりした気持ちで生活を送ることができます。

 

③抗ストレス力

胃酸を抑え、胃の動きを高め、それでも改善されないとき、考えなくてはならないのは、知らない間にかかってきているストレスや過労です。

 

ピロリ菌がある人にストレスがかかると、簡単に腫瘍ができてしまいます。

逆にピロリ菌がいなければ、少々のストレスがかかっても腫瘍はできないことがわかっていますので、その点では安心できます。

 

ストレスを感じる前に積極的にストレスを解消し、常に溜め込まないような工夫をしましょう。

ただ、過大なストレスで腫瘍になることも、ままありますので注意しなくてはなりません。




<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

胃の2種類の動きを使い分ける

今回は「胃の2種類の動きを使い分ける」というテーマです。
 
 
胃の動きには大きく分けて、「食後の運動」「空腹時の運動」があります。
 
<食後の運動>
胃に食べ物が入ると、胃の出口付近の「幽門前庭部」が1分間に3回、規則的に動いて食べ物を細かく砕き、2mm以下になったものを胃から排出する。
この運動は食後3〜4時間続く。
 
<空腹時の運動>
午前0時から朝方までの空腹時、胃の上部の「穹窿(きゅうりゅう)部」が強く収縮して、食べ物の残りカスや脱落した胃の細胞を、一気に胃の外に押し流して掃除をする。
 
 
私たちは日中に活動し、夜中に睡眠をとっていますが、胃はこの逆で夜中の空腹時の方が、食後よりずっと活発に動いているというわけです。
 
しかし、夜遅くに食事をすると食後の胃の運動が夜中にも続いてしまい、空腹時の運動になかなか移行できなくなります。
胃の掃除が十分にできていないと、胃もたれに繋がり、他の臓器に回るべき血流が胃に集中するため、身体全体に負担がかかってくるのです。

夜食事をするなら、遅くとも9時までには済ませて、胃の掃除力を味方につけたいところです。
 
夜中にずっと動いていた胃も、明け方になると動きが鈍ります。
そして、朝になると交感神経が緊張し、胃の動きを抑制します。
また、ストレスホルモンであるCRF(Corticohormone Releasing Factor)が脳の視床下部から分泌され、胃の蠕動運動(腸管の口側が収縮し、肛門側が弛緩して内容物を先へ押し出していく運動)を弱めてしまいます。
 
従って、朝には胃の働きをあまり必要とせず、できれば白湯のみが望ましいと言えます。
何か食べるのであれば、酵素が含まれる生野菜や果物などを摂ると良いでしょう。



<参考文献>
医者が患者に教えない病気の真実
(幻冬舎・2013)
著者:江田証

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