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スタチン剤をやめた9割の人の記憶機能が改善!

今回は「スタチン剤をやめた9割の人の記憶機能が改善!」というテーマです。
 
 

スタチン剤と認知機能の関係については、「比較試験」で調べられてきました。
 
その内容は大勢の人達を2群に分けて、片方にスタチン剤を、他方にプラセボ(ニセの薬)を飲ませる試験です。
 
その結果、スタチン剤による認知機能の低下は認められなかったとされてきました。
 
 
 

しかし、反対の結果を報じる「比較試験」もあります。
 
2つの別々に行われた比較試験で、プラセボ群に比べてスタチン群では、認知機能テストの成績が悪かったという結果が得られたのです。
 
 

また、他の研究でも認知機能の低下が示されました。
 
スタチン剤によって、「記憶障害」が生じたと思われる171人を集めた研究です。
 
その結果、ボケ症状が出たタイミングはまちまちで、スタチン剤を飲み始めてから、ボケ症状が生じるまでに1日〜10年という幅がありました。
 
但し、その半数は5ヶ月以内にボケ症状が現れています。
 
 
そこで、それら171人の内143人がスタチン剤をやめてみたところ、128人(90%)において記憶機能の改善が見られたのです。
 
その内、55人は「完全回復」しました。
また、「デメンチア(重いボケ)」と診断されていたのに、認知機能が回復した人達もいました。
 
 
こうした研究を受け、米国の医薬品行政を司る「アメリカ食品医薬品局」(FDA)も2012年に添付文書に重要な変更を加えました。
「記憶障害や意識混濁が生じたケースが報告されている」という警告を追加記載したのです。
 
 
このように見てくると、スタチン剤に認知機能の低下リスクがあることは確実だと言えるでしょう。







<参考文献>
このクスリがボケを生む! 〜「ケモブレイン」にならない13の知恵〜
(学陽書房・2019)
著者:近藤誠

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