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抗ガン剤が脳を攻撃する
今回は「抗ガン剤が脳を攻撃する」というテーマです。
抗ガン剤によるケモブレインの仕組みは、正直なところよくわかっていません。
それでも種々の証拠から、
●抗ガン剤が脳の神経細胞の一部を破壊する
●神経細胞を死滅はさせないが、機能異常をもたらす
などと考えられています。
脳は、人の意識の源である重要な臓器です。
しかも、神経細胞はとてもデリケートで傷付きやすいため、人体には「血液・脳関門」という装置があります。
これは血管内の有毒物質が、外に漏れて脳細胞を傷付けるのを防ぐための血管内と脳細胞の間にある一種の「関所」です。
かつては、抗ガン剤は毒物だからこの関所を通過出来ないと考えられていました。
これが本当なら、ケモブレインは生じないはずです。
しかし、実際には抗ガン剤が「血液・脳関門」を通過することがわかってきました。
なぜなら、ガン治療に幅広く用いられる「タキソール」・「オキサリプラチン」・「5FU」などで「白質脳症」が生じるからです。
これは脳の「白質」という「神経信号を伝える経路」が破壊された状態であり、
●歩行時のふらつき
●舌のもつれ
●意識障害
●顔面麻痺
●記憶力低下
●尿失禁
など、様々な症状が見られます。
そして、その多くは回復不能です。
<参考文献>
このクスリがボケを生む! 〜「ケモブレイン」にならない13の知恵〜
(学陽書房・2019)
著者:近藤誠