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なぜ、いくつもの臓器が一度に機能不全になるのか?
今回は「なぜ、いくつもの臓器が一度に機能不全になるのか?」というテーマです。
最近は新型コロナウイルスにより、「闘病中の人が多臓器不全で亡くなった」などという報道を目にします。
ただ、これまで「多臓器不全」の圧倒的多数はガンで闘病中のケースでした。
多臓器不全と聞くと、転移によっていくつもの臓器が一度に「機能不全」に陥ったのだろうと考えがちです。
しかし、転移によって死亡する場合には肺や肝臓などの「単一の臓器」への転移が原因となって死亡する「単臓器不全」になります。
つまり、複数の臓器に転移しているケースでは、それぞれの臓器のサイズ、転移の個数、転移の大きさなどが異なるので、いくつもの臓器が同時に機能不全に陥ることは(ほぼ例外なく)あり得ないのです。
どれかひとつの臓器が先に「機能不全」になり、それによって患者さんが死亡してしまうからです。
では、いくつもの臓器が一度に機能不全になる理由は何なのでしょう?
それは、全身への"血流"が途絶するからです。
肺でも肝臓でも腎臓でも、血液が供給されなければ、すぐに機能不全に陥ります。
では、血流が途絶する理由は何か?
多くの場合、肺炎や敗血症など「重篤な感染症」があります。
そして、その影響で血管内の血液がほぼ一瞬にして凝固し、「血栓」が出来ることで血管内部が(多数の血栓により)目詰まりするので、血液が流れなくなるのです。
では、ガンの患者たちに感染症が生じる理由は何か?
それは、手術や抗ガン剤の副作用です。
手術後にはメスが入った部位に「膿瘍」が生じやすく、それから肺炎や敗血症に発展します。
また、抗ガン剤では副作用で骨髄障害が生じ、白血球が減る為、感染症になりやすいのです。
<参考文献>
もう、がんでは死なない ~二人に一人ががんになる時代の最高の治療法~
(マガジンハウス・2020)
著者:近藤誠