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ガンを暴走させる増殖因子
今回は「ガンを暴走させる増殖因子」というテーマです。
ガンが暴走する理由の1つとして、手術後に分泌される「増殖因子」というものがあります。
ケガをした場合を考えてみましょう。
●擦り傷など「ケガ」をすると、傷口に白血球などが集まって種々の「増殖因子」を分泌します。
それが正常細胞を活性に分裂させ、組織は修復されるわけです。
●ガンの手術は「大ケガ」なので、分泌される「増殖因子」が擦り傷などよりも桁外れに多くなる。
●ガン細胞は、その仕組みと働きが正常細胞とほぼ同じなので、増殖因子に反応して、急激に増殖・増大することになります。
他方で、転移ガンが暴走するようなケースでは、手術前から臓器に転移ガン細胞が隠れています。
その場合に手術すると、メスが入った部位で大量の「増殖因子」が分泌され、それが血流に乗って全身を巡り、色々な臓器に隠れている転移ガン病巣を刺激し、暴走を始めさせるわけです。
整理すると、
①手術によって正常組織の「抵抗力」が破綻し、そこにガン細胞が入り込む。
②手術によって生じる「大ケガ」に対する人体の反応である「増殖因子の分泌」が手術部位や遠くの臓器でガンを急速に増大させるわけです。
結局、ガンと正常組織の「抵抗力」との間に成立していた「バランス」が手術によって崩れ、ガンの暴走が生じるわけです。
<参考文献>
もう、がんでは死なない ~二人に一人ががんになる時代の最高の治療法~
(マガジンハウス・2020)
著者:近藤誠