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放射線によるバランス破綻に注意
今回は「放射線によるバランス破綻に注意」というテーマです。
あまり知られていないようですが、放射線治療も正常組織にダメージを与えるので、抵抗力の低下を招き、ガンが暴走することがあります。
つまり、放射線が照射された部位とその周辺にガンが再発してくることがあるのです。
例)小さな肺ガンを放射線で治療するケース
このときに用いられるのが、「定位放射線治療」です。
小さな病巣を狙って、四方八方から放射線を集中的に照射するので、「ピンポイント照射」とも呼ばれています。
しかし、放射線はそれが通過する周辺組織にもダメージを与えます。
このダメージを受けた肺組織は、ガン細胞に対する抵抗力が弱っているので、血液中に存在しているガン細胞が定着しやすく、増殖して「再発病巣」になります。
照射された部位とその周辺にポツポツとガン病巣が生じるのです。
なお、ピンポイント照射の全てに生じるのではなく、どこかの臓器に転移している「タチの悪いガン」の場合に、この形の再発が起こりうるわけです。
そして、血液中にガン細胞が存在するがゆえに、放射線ではなく手術を選んでも、メスが入った「局所」や遠くの「臓器」に再発してくるはずです。
色々な臓器や部位で、放射線によるガンの暴走現象が生じているはずです。
しかし、元々「ガン」が存在していた部位やその周辺でガン細胞が増殖するので、「ガンの局所再発」とみなされ、臨床現場で問題になることは多くありません。
<参考文献>
もう、がんでは死なない ~二人に一人ががんになる時代の最高の治療法~
(マガジンハウス・2020)
著者:近藤誠