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ガンが自然に消えるアポトーシス現象
今回は「ガンが自然に消えるアポトーシス現象」というテーマです。
ガンが自然に消える仕組みに、「アポトーシス」という現象によるものがあります。
アポトーシスとは、「細胞の自殺」を意味し、それを引き起こすための仕組み、ないし装置が正常細胞に備わっています。
例えば、オタマジャクシがカエルになる前に尻尾が消えるのはアポトーシスによります。
また、人の胃や腸の「上皮細胞」は誕生してから、数日のうちに新しい細胞と総入れ替えされる。
このとき、古い上皮細胞はアポトーシスによって、自滅して消えていくのです。
但し、正常細胞が勝手にアポトーシスを始めると、身体の臓器や組織を形づくる細胞が焼失してしまいます。
それを防ぐため、多くの細胞は勝手にアポトーシスを起こさないように、それを抑制するための仕組みも備えています。
さて、ガン細胞は正常細胞から分かれたものなので、当然アポトーシスを引き起こすための仕組みを持っています。
ただ仕組みといっても、目で見えるようなものではなく、各細胞内の遺伝子やタンパク質の働き方を支持する「プログラム」のようなものです。
「アポトーシスを始めなさい」というスイッチが入れば、プログラムに従って細胞内の遺伝子やタンパク質が働きだすのです。
ガンが自然に消えるのも、各ガン細胞のアポトーシス・プログラムにスイッチが入ったためであるはずです。
但し、何がスイッチを入れるのか原因は不明です。
研究してもわからないのです。
そのため、「この食事で」「このサプリで」ガンが消えた、というような主張は科学的根拠がありません。
もっとも、抗ガン剤や放射線がガン細胞を殺すことがあるのは、それらがアポトーシス・プログラムのスイッチを入れるからではあるはずです。
しかし、このとき同時にガン細胞と同じプログラムを持つ正常細胞もアポトーシスが生じるため、死滅してしまうので、色々な副作用が生じるわけです。
<参考文献>
もう、がんでは死なない ~二人に一人ががんになる時代の最高の治療法~
(マガジンハウス・2020)
著者:近藤誠