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ガンを放っておいても転移しないという根拠

今回は「ガンを放っておいても転移しないという根拠」というテーマです。

 

 

 

この根拠の基本は、「ガン細胞の増え方」です。

 

ガン細胞が誕生すると、2分裂を繰り返して248個と増えていき、ガン病巣が発見可能な1センチの大きさでは「10億個」ものガン細胞が詰まっています。

 

そこに至るまで520年ほどかかりますが、「それほど長い間」「そんなに多数になるまで」転移できなかったこと自体が、ガン細胞に「転移する能力がない」証拠になるでしょう。

転移能力がなければ、その後いくら放っておいても転移できない道理です。

 

 

「いやいや、10億個になったあとも遺伝子が突然変異して、転移能力を身につける可能性がある」という反論はどうか?

 

これもやはり、「可能性」を論じるだけで、具体的なデータを示さない。

10億個になるまで転移できなかった、という事実は重いはずです。

 

 

いつ転移が生じるかに関しては、具体的な研究データもあります。

のちに東大外科教授になった草間悟氏が、米国留学時代に66人の乳ガン患者における転移病巣の大きくなり方を調べたデータです。

 

結果、ほぼ全員が早期発見可能な大きさのときに転移していました。

 

このように、ガンを放っておいても転移しないことは推論ではなく、観察事実に基づいています。

 

 

また、実験医学の分野でも証拠があがってきました。

例えば、乳ガンでは生まれて間もないガン病巣からガン細胞が離れ、転移してしまうことが確かめられています。

 

そうした実験結果を受け、世界で最も権威がある医学誌に「乳ガン転移のタイミング」という解説記事が載り、「ガン細胞は生まれた途端に転移し始める」という考えを支持しています。


<参考文献>
もう、がんでは死なない ~二人に一人ががんになる時代の最高の治療法~
(マガジンハウス・2020)
著者:近藤誠

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