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ガンの原因:生活習慣③サプリメント
今回は「ガンの原因:生活習慣③サプリメント」というテーマです。
症状改善や病気予防などに、サプリメントを摂っている方は多いと思います。
しかし、「これを飲んで効いた」というのは多くの場合、「プラセボ(偽薬)効果」です。
例えば、薬と偽って、うどん粉のように薬効のないものを飲ませても、3〜4割の人は効果があったと思うもの。
しかし、症状改善効果や病気の予防効果を証明するには「比較試験」が必要ですが、どのサプリも効果が示されていないのです。
その半面、サプリは長期間続けて摂ると、副作用が生じて危険です。
効果と副作用は裏腹な関係にあるので、もし効果があれば副作用もあるはずです。
この点、「比較試験」によってガン死亡を増やすことが証明されたサプリがあります。
それは「ベータカロテン」です。
ベータカロテンは人参、ほうれん草、南瓜などに多く含まれ、身体に入るとビタミンAに変換されます。
ビタミンAには抗酸化作用があるため、ベータカロテンを多めに摂れば、ガン死を減らせるのではないか、と考えられてきました。
それを証明しようと、比較試験が実施されたのです。
最初に中国で行ったところ、ガン死が13%減少したとされました。
他方で、フィンランドでも喫煙男性を対象に比較試験が実施されました。
結果は肺ガンの発生率が18%増加。
他の疾患も含めた「総死亡」も8%多くなりました。
2つの試験は一見矛盾するようですが、整合しています。
というのも、試験当時の中国は貧しく、栄養不良の人たちが多かった。
そのため、ベータカロテンが補充されると身体が正常状態に戻り、ガンも減ったのでしょう。
ビタミンは不足状態にある人には効果が高いのです。
ところが、フィンランドは経済豊かな先進国で、栄養不良の人やビタミン不足の人は少ない。
そのため、ベータカロテン投与は人体にとって「過剰」となり、肺ガンなどを増やしたのでしょう。
<参考文献>
もう、がんでは死なない ~二人に一人ががんになる時代の最高の治療法~
(マガジンハウス・2020)
著者:近藤誠