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「毒性」よりも怖い食品添加物の問題
今回は「毒性よりも怖い食品添加物の問題」というテーマです。
添加物の問題というと、おそらく多くの人が思い浮かべるのが「毒性」でしょう。
皆さん「添加物は怖い」「身体に毒だ」という認識を持っています。
もちろん、添加物の「毒性」はそれはそれで大きな問題ではあります。
以前、厚生労働省ではネズミなどの動物を使って様々な毒性テストを行い、使用量や使用対象の食品を厳しく定めているという話をしました。
しかし、そもそもネズミと人間の消化能力は違うはずです。
それでも人体実験ができない以上、動物実験を1つの「目安」にするしかなく、その結果をもとに「これは毒性が少ないからOK」などとやっているのです。
また、AとBという2つの添加物を同時に摂った場合、あるいは30種類前後の添加物を同時に摂った場合、いったい人間の身体にどんな影響があるのかという「複合摂取」の問題は完全に盲点になっています。
現実的に1つの添加物を単品で摂るということはまずないため、複合摂取が当然であるはずなのに、その「毒性」は誰も明らかにしていないのです。
つまり、認可されている全ての添加物の安全性が完全に確認されているとは、とてもではありませんが言えないのが食品添加物の世界なのです。
それにも関わらず、これほど食品添加物が蔓延している世の中では、私たちの食生活から添加物を「ゼロ」にするのは、現実問題として不可能です。
私たちの食生活において、添加物を使って作られる加工食品への依存度が、近年ますます高くなる一方なのは否定できない事実でしょう。
「添加物は危険だからやめろ!」ということは簡単ですが、それでは何も変わりません。
あれが毒だこれも毒だ、添加物をやめて無添加にせよと、告発するだけでは前へはちっとも進まないのです。
ですから、「毒性」は避けては通れない問題ではあるけれども、その危険性だけを扇動して騒ぎ立てても仕方がないのです。
それよりも、もっと広い視野で添加物の問題を考えていかなければならないと思います。
例えば、日本では年間約8000人が交通事故で死亡していますが、だからといって車を追放せよという話にはなりません。
添加物の問題もそれと同じなのではないでしょうか。
<参考文献>
食品の裏側 〜みんな大好きな食品添加物〜
(東洋経済新報社・2005)
著者:安倍司